【ワイン・コルク・ポートレート展 開催】2016.8.20~2016.10中旬

こんにちは、久保です。

先日行いました「食とアートの会」。

今回は私がこの2年の間に制作してきたコルクアートの展示会を開催するにあたり、
レセプションPARTYという形で、食とアートとワインを皆様に楽しんでいただきました。

普段は緑と光の差し込むレストランも、この日はギャラリーに。





コルクアートとは文字通り、ワインのコルクの色合いで描くアートなのですが、
一枚の肖像画には2400個のコルクが使用されています。

近くで見るとこんな感じで絵に見えないのですが、離れてみると滲んで肖像画が浮かび上がるというモザイクアートとなっています。



ソムリエとして長く仕事をして、毎日のようにワインを試飲したりする機会はありますが、
例えば毎日ワインを1本開けても、一年で365個のコルクしか出ないのです。

それなのに2400個も使う絵が、8枚も描けるほどのコルクが僕のところに集まったことだけでも、
すごい事だと思います。

この活動は、たくさんのワインファンの方々、協力してくれたレストランやワインスクールなど、
多くの方々のワインを飲んだ記憶の集まりでもあります。

*コルクご提供者、ご協力者の皆さまはこちらにまとめてあります。
・http://blog.lavinee.jp/img/652

「10枚もあるなら、うちで展示会をしましょう」

今回、このような展示会が出来ましたのは、仲良くさせていただいているレストランKeisuke Matsushimaのシェフ、松嶋さんからのお声がけから始まりました。



芸術活動も活発なフランス・ニースに住み、松嶋さんにとってもアートはすごく身近なもので、コート・ダジュールの光にはこれまでもマティスやピカソ、シャガール、ルノワールなど様々な著名芸術家が魅了されてきました。

またアートというのはその時代の抱える問題だとか、アーティストの考えることの表現だったりとかを、直接見たり聞いたり出来る場が必要だということで、松嶋さん自身発起人として、食とアートの会+ART CLUBという活動を続けています。
http://plusartclub.com/



今回は原宿のレストランが8周年ということで、8枚の作品を展示させていただきました。
展示のモチーフになった8人は以下の通り。

Napoleon Bonaparte 1769 - 1821
ナポレオン・ボナパルト

Grace Kelly 1929 - 1982
グレース・ケリー

Leonardo da Vinci 1452-1519
レオナルド・ダ・ヴィンチ

Lalou Bize Leroy 1932 - 現在
ラルー・ビーズ・ルロワ

Coco Chanel  1883 - 1971
ココ・シャネル

Maria Callas 1923 - 1977
マリア・カラス

Salvador Dali 1904 - 1989
サルヴァドール・ダリ

Marc Chagall 1887 - 1985
マルク・シャガール









総勢20000本ものワインを皆様が飲んだからこそ出来上がる絵画ですので、ワインを飲むレストランで展示会を行えることをとても嬉しく思いました。

それぞれのポートレートの人物や彼らが生きた時代背景にちなんだワインと料理をご用意し、フランスそして、ニースの文化をお楽しいただくPartyのスタートです!




アペリティフは「シャンボール・ロワイヤル」というカクテル。

「キール・ロワイヤル」というカシスとシャンパーニュというカクテルのカシスを、シャンボール・リキュールというフランス・シャンボール城でのおもてなしから生まれたラズベリーなどを漬け込んだリキュールに替えたカクテルです。

ルネッサンスの傑作といわれるシャンボール城(ダ・ヴィンチが設計にかかわったと言われています)のリキュールと、シャンパーニュ(ナポレオンに因んでMOET & CHANDON BRUT IMPERIAL)の出会いです。

ワインには、様々な歴史の物語が隠れていますので、そのあたりをご紹介しながら乾杯!

BGMにはマリア・カラス、オペラ椿姫より「乾杯の歌」。




続いて、プロヴァンスワインをたくさん並べ、
料理は松嶋さんの住む、ニースの料理でお願いしました。

シャガールは晩年ニースで暮らし、NICE SOLEIL FLEURという絵を書いていますが、日本では滅多に飲めないニースのワイン「BELLET」もうまくご用意することが出来ました。このワインはモナコ国王の結婚式でも振る舞われています。王妃はもちろん、グレース・ケリーです。

ニースという土地も、イタリアとフランスの挟間で、歴史の中では時にサヴォワ公国だったり、サルディーニャ王国だったり、まさしくサルディーニャにニースが割譲されるのはナポレオンがワーテルローで敗戦して結ばれた条約ですし、そうしたことが食の中にも影響を与えているのです。

料理は愛情と共に家族に受け継がれるものですし、保存食という土地の知恵は
未来への優しさです、と語る松嶋シェフ。

料理は新しさを求めてやたらにいじりまわすのではなく、土地の約束、
過去と未来をつなぐものだとも言います。











そして今日もまた、材料となるコルクが貯まっていきます。

コルクアートは、ワインの染みた色合いの濃淡で描きますので、その濃淡が感じられるよう、2013年、2003年、1993年、1983年と10年ずつ遡ってワインも揃えてみました。





ルロワさんのワイン。

5作目に作った(No.5)ココ・シャネルの隣に展示し、「シャネルを着て葡萄畑へ」というマダムの話を思い出していました。

シャネルというブランドは今では高級ブティックのイメージですが、ココ・シャネルの自伝を読むと孤児院(シトー派修道院)で育てられていることに驚きます。

その後それまでのコルセットの入った重々しい貴族の服を開放し、シャネル・ブラックとも言えるシンプルなデザインが生まれたのは、こうした背景も関係していると思います。

そんなシャネル社が所有するボルドーのシャトーがローザン・セグラ。
こちらはマグナムでご用意しました。







20年以上、ワインを守ってきたコルクは、その証とも言えるほど真っ黒です。
こうしたコルクは力強いモチーフの瞳の部分などに使用します。





赤ワインに移って行ったところで巨大なジゴ・ダニョー(羊のもも肉)。

プロヴァンスのハーブがまぶされ、日本のレストランだということを忘れるくらい、
まさしくプロヴァンスの食の情景が浮かびます。



1983年のワインは、シェリーです。

今回の8作はフランス人に限らず、フランスに関わる人物がモチーフとなっていますが、こちらはサルヴァドール・ダリへのオマージュです。

髭がユニークと皆さん仰っていただきましたが、髭の部分にはスペインのシェリーのサービスに用いる「ベネンシア」を使いました。



ベネンシアはかつて、クジラの髭を用いていたことも意味づけています。
BGMマリアカラス「セビリアの理髪師」です。





そして最後に、
シャンパーニュ。

グレースケリーやマリアカラスというと、BELLE EPOQUE(古きよき時代)のイメージが浮かびますが、今回はテタンジェです。

テタンジェ社もアートに造詣が深く、テタンジェ・コレクションなどのシリーズがありますが、実は2000年を記念したボトルにグレースケリーのデザインを用いたことがあります。



コルクアートの次作に予定している「ルイ・アームストロング」や、フランク・シナトラとグレースケリーが共演した映画「上流社会」からイメージし、今回はテタンジェ社がリリースしたジャズデザインのボトルで、〆の乾杯!

what a wonderful world!

「食とアート」という場は、食の原点、「人」を「良」くする場です。
友情や愛情、様々な情を育むのが食ですし、交流を生むのがアートです。

これが今回、松嶋シェフと僕が軸にしていた想い。

春に松嶋シェフから聞いた言葉・・・

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「外国人である自分だからこそ見えてくるもの。

土地の人達が大切に受け継いでいるものを、料理にしたい。

僕は単純に食事をする時間を取ってほしいと思っています。

家族でそして友人と、自分で作った食事で、
食事を取り戻すきっかけになってほしいなと思っています。

そして、作った人の人情を感じる食事を通して
友情や愛情を育んでほしいと思っています。

人を良くすると書いて食、人を良くする事と書いて食事、

食事を通して人情、友情、愛情という情けを感じていただき、
批判ばかりする社会で情けをかけない、情けない社会からの脱却をして欲しいなって思っています。

そのためには料理を通しての熱、
ぬくもりを感じる事じゃないかって思っています。」

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たくさんの美味しい料理、たくさんのワインを楽しんでいただき、
「ワインコルクポートレート展」の幕開けです!

最初は何気なく捨ててしまっていたコルクも、
「どうしてワインの栓をするのに、コルクを使うのだろう?」と疑問を持ってみると、再生産という自然に寄り添う人の営みが見えてきます。

僕のアーティストとしての役割は、ワインから自然の恵みを楽しんだ後のコルクを、ゴミにするのではなく、
意味づけをして食の場に戻してあげる事。そんな想いを汲んでいただいた松嶋シェフに感謝です。

作品は10月中頃までレストランに展示していただきますので、
お食事をしながら、またワインを飲みながら眺めて頂けたら嬉しいです。

食を通じて、ワインを通じて、アートを通じて、
このような会を行えたことを、とても嬉しく思います。

これまで活動を応援してくれた方、コルクを提供してくれた方、
本日ご来場いただきました方、場を提供してくれたレストランの方、
すべての皆様に感謝いたします。

物語はPARIS展2017に続きます。



東京都渋谷区神宮前1-4-20 パークコート神宮前
TEL 03-5772-2091
http://keisukematsushima.tokyo/